486 名前:Xmasネタだと…こーですか!?><[sage] 投稿日:2007/10/20(土) 10:53:42 id:Pz2En7Po0 (PC)
「クリスマス…ですか? 別に何時もと変わりません。 と言っても、今年は運良くチケット取れてたクラシックコンサートでも行こうかと思ってますが」
「あのなぁ…、千早も今や立派なアイドルなんだぞ? もう少し、世間一般の行事物位は感心を持ってくれよ…」
相変わらず歌中心の生活振りに、溜息をPが零した
「すみません、善処はしてみます。 ですが、仕事上って事なら大丈夫ですよ? プロを名乗る以上、ファンを失望させる様な真似はしませんから」
「…素敵な答えを有難う、俺は嬉しくて涙が止まらんよ…」
片手で顔を覆うと、空いたもう片方の手を振って、これ以上の千早の言葉を手振りで制する
「でもさ…、いつも一人ってのは…寂しく無いのか?」

「もう…、慣れましたから…」
その問い掛けにふと遠い目を見せ、少し寂しそうな表情で彼女が微笑する
先達て、千早の両親が離別した。覚悟していたと口では言っていたものの、彼女にとってその事実はやはりかなり重い現実だった様だ
普段のその風貌から大人びた印象を持たれているが、実際は年端もいかぬ少女には変わりはない。それは、あの時の涙が全てを物語ってもいる

「ゴ、ゴメン…、ヘンな言い方して…」
「気にしないで下さい。そんなつもりじゃ無いのは判ってますから」
「すまん…。  …あ、そ、そうだ! それならさ、そのコンサート終わった後ってちょっと付きあう時間有るかな? 今のお詫びも兼ねてなんだけど」
「ええ、構いませんよ。特に予定は無いですから」
「よし、じゃあ約束な!」
そう言うと、明るい笑顔でPが笑った


はぁ…と、白い息を己の手に掛け暖める様な仕種を千早が見せる。宵闇の空には広がっている鉛色の雲

暫くすると、向こうの方から急いだ足取りで此方へ向かってくるPの姿が見えた
「ご、ゴメン! 約束させて、こっちが遅れるなんて…」
「気にしないで下さい、打ち合わせが長引いたのでしょう?」
「うん、次の曲のコンセプトが……って、あーもう、止め止め! こんな日まで、一日中仕事の話は止めようぜ? 何か寂しくなっちゃうよ…トホホ…」
「そうですね、折角仕事も終了なのに…すみません。 あ…ところで、今日の用件って何ですか?」
「おっと、いけね!」
そう言うと、ゴソゴソとカバンの中から何かを取り出す。それは、さほど大きくは無いが綺麗な包装に包まれていた
「はい、コレ。 今日はイブだから千早へのプレゼント。 まあ、高価なもんじゃ無いから、安心してくれ」
と、ポカンとした表情の千早にそれを手渡す
「あ、そうだ。 念の為開けてみて?」
言われたとおり開けてみると、中からはクラッシックとジャズのCDが出てきた
「あ…、コレ…」
嬉しそうな表情で千早がPを見る
「よ、良かったー…。 千早、これ持ってたらと思うと、俺涙目物だったからw」

「…まさか、遅れたのもコレを探すのに…? 全て……………わざわざ私だけの為に…?」
「だって、イブだろ? 元々は聖誕祭だから掛け離れた話だけどなw この国じゃ、近い人、親しい人…勿論恋人達にとっては、相手をどう思ってるかを表せる一大イベントだからさ」
少し照れた様な表情で言うP
( 有難う御座います…こんな、素敵なプレゼント… )
CDをそっと抱き心なしかはにかんだ様な表情を浮かべ、心の中でポツリと千早が呟いた
「? どした?」
「あっ! い、いえ何でも有りません」
慌てて返事をPに返す

「そっか? ヘンなヤツだな…まあいいや。 じゃあ、この後は…定番の食事と行きますか。 空いてるトコ探すの大変そうだけど。 まだ、時間いいだろ?」
その言葉にコクリと頷く
「なら年に一度のイベント、こんな感じはどう? 『では歌姫様、今宵はこの私めにどうかエスコートを…』」
ちょっと気取った感じで、千早に向かって手を差し伸べるP。それを見て、千早が暫し考え込む様な表情を見せた後…
「『プリンス様からのそのお申し出、喜んでお受け致します』」
と、優雅にコートの裾をつまむ仕種と共に嬉しそうな微笑を見せた

千早が差し出された手を握り返すと、ふと、チラチラと白い物が空から落ち始めてくる
「あ…プロデューサー。 雪が…」
「おー、ホワイト・クリスマスだ! やっぱ、クリスマスってのは雪が似合うなぁ…」


ホワイト・クリスマス ―――――― それは、今夜の2人へ神様がくれた『ささやかな贈り物』なのかもしれない


491 名前:[sage] 投稿日:2007/10/20(土) 14:55:12 ID:0ylZGduK0 (PC)
遅レスで需要があるか不明だけど、せっかく面白い書き込みがあるので清書してみた。

〜ある日の風景 Extra〜

「今年もクリスマスだと言うのに仕事か。まあ、これで直帰できるだけマシか」
「この業界に盆も暮れも関係ない気がしますが?」
プロデューサのため息に千早が呆れ顔で返す。
ある巨大商業施設での販促イベント。周囲はカップルだらけ。
たまたま空き時間にちょうど良い仕事なので受けたが・・・・・・正直言って、独り身には辛い光景。
「いや、そうだけどさ、何か潤いが欲しいじゃないか」
「確かに私のミニスカサンタのコスプレでは、潤いになりませんね。申し訳ありません、色気がなくて」
彼の言葉に千早はぷいっと顔を背け、歩く速度を上げる。
「あ、ちょ、そうでなくて」
「言い訳は無用です。少し買い物があるのでそこで待っていて下さい」
慌てて宥めにかかる彼を尻目に彼女は変装用のメガネを付け、雑踏の中へ消えていく。

「はあ、怒らせてしまったか。でも、千早は確かにクリスマスを楽しめる境遇じゃないからなぁ」
彼はため息を付き、少しだけ想像する。
「『はあ、今年も独りのクリスマスかぁ〜』とため息を付く俺。
 『皆、どうしてクリスマスに拘るんでしょうか?私には分かりません』と返す千早。
 うん、これは普通にあり得るな。これに対して、うん、こうだな。
 『それは、誰だって好きな人と一緒にいたいって思うだろう?』と教えてやる」
うんうん頷きながら、彼の知る千早の言動に置き換えていく。
「千早なら、そうだな、こう返すか。
 『それはそうですが、別にクリスマスじゃなくてもいいじゃないですか?』と。
 俺は納得させられないことを承知の上でこう言うんだ。
 『クリスマスってのは男にとってはそういうものなの!
  はぁ、こんな寒い時に独りなんて寂しいよなぁ。
  ・・・と、とにかく!今日はお疲れ、千早。また明日な』
 そこで・・・・・・」
彼の想像は妄想へと暴走し始めたのか視線が急に遠くなり始める。
近くにいる客が彼を避けているのが分かる。
誰も目の前で遠い視線をしているのがトップアイドルのプロデューサーとは思わないだろう。
と言うか、思いたくないだろう。特に彼女のファンが。
「うん、彼女は無言で俺に不意打ちでキスをするんだ。
 慌てる俺に彼女は
 『元気・・・・・・出ましたか? 私からのくっ、クリスマスプレゼントで・・・・・・す・・・・・・』
 と言って、真っ赤な顔を」
「何をぶつぶつと言っているのですか? 傍から見なくても不審人物ですよ」
妄想が最高潮に達した彼に、千早は冷水を浴びせかけるかのように声をかける。
時々遠くに飛んでいく彼の癖は知っているが・・・・・・慣れることは今も出来ない。
「いや、ちょっと、考え事を。千早、何を買ってきたんだ?」
「聖夜に独り身の可愛そうなプロデューサーに普段のお礼を兼ね、ボランティアしようかと。
 フライドチキンとケーキを買ってきました。これから・・・・・・プロデューサーの部屋に行ってもいいですか?」
彼の問いに彼女は冷静に返事をしていたが、最後の方は顔を真っ赤にしている。
「も、もちろんだ。と言っても何もないけど」
「そうだと思って、サラダとパンもセットにしました。食器があれば、十分です」
「面目ない。じゃあ、行こう」
そう言って歩き出す彼に千早もついていく。
朝から聖夜に一人きりなことに落ち込み、
視野が狭くなっていた彼は千早の荷物が大きいことの意味に気付くはずもなかった。
彼女の鞄に手編みのセーターとお泊まりセットが入っていることに。

久々に自炊したご飯を食べながら、書き込みに補完してみた。
虚しくなったが・・・・・・今年の聖夜も一人であることを二ヶ月前の時点で確信できた。