340 名前:SS[sage] 投稿日:2008/02/14(木) 16:08:09 id:UVHuVhOAO (携帯)
 『変身』 その1
── ・ ──
ある日の朝、社長と小鳥さんが一人の男の子を事務所に連れてきた。
年の頃は五才くらいだろうか。
恥ずかしそうに小鳥さんの後ろに隠れている。
千早「社長、その子は?」
社長「うむ、この子か……実はな……」
社長の代わりに小鳥さんが答えた。
小鳥「プロデューサーさんみたいです…」
「ええーっ!?」
── ・ ──
社長の話によると、数日前からPと連絡が取れなくなってしまった。
心配した社長と小鳥さんがPの自宅を訪ねてみると、
Pの姿はなく、代わりにこの男の子がベッドで寝ていたというのだ。
あずさ「でも〜、どうしてこの子がプロデューサーさんだと判ったんですか〜?」
社長「そんな事は、この私の『高木アイ』の力をもってすれば容易いことだ。
   人の本質を見抜けなければ、芸能プロダクションの社長なんか、到底務まるものではないからね」
千早「高木アイって一体?」
律子「気にしたら負けよ。で、仕事はどうするんですか?」
小鳥「うーん、それがねぇ、自分に関することは全て覚えてないみたいなのよ」
あずさ「名前も?」
小鳥「そう。綺麗サッパリに。ほっとく訳にも行かないから、事務所に連れてきたのよ」
小鳥さんが困った顔でつぶやく。
律子「仕方ないですね、事務所で面倒見るしかないでしょう」
あずさ「そうね〜、うちにはちひゃーちゃんとかちっちゃい子が沢山いるし、いいんじゃないかしら〜」
小鳥「そういえば、ちひゃーちゃん達は?」
律子「いつものおばあちゃんの家に遊びに行ってます」
小鳥「そうなの?まあ、いたら大変な事になってたかもね…」
社長「済まんが、この件は君達に任せる。では私は他社との打ち合わせに行ってくるよ」
社長は足早に出掛けていった。
── ・ ──
律子「名前どうします?」
千早「プロデューサーではさすがに変ですし」
あずさがポンと手を打った。
あずさ「じゃあ取りあえず、『Pちゃん』って呼ぶのはどうかしら〜」
律子「いいんじゃないかしら、分かり易くて」
千早「あなたは今日から『Pちゃん』よ、よろしくね」
千早はしゃがむと、Pの目線で優しく微笑んだ。
P「おねえちゃんたち、だあれ?」
Pが怖ず怖ずと口を開いた。
千早「私は千早よ。メガネをかけているのが律子。あちらがあずささん。あなたを連れてきたのが小鳥さんよ」
P「えと、千早おねえちゃん、律子おねえちゃん、あずさおねえちゃん、小鳥おねえちゃん…」
Pは一人一人の顔を確かめるように、つぶやいた。
ズッキューン!ズッキューン!ズッキューン!
その瞬間、小鳥さんは確かに聞いた。
事務所に響く様な、大きな音を。
千早(お、おねえちゃん……千早おねえちゃん……)(*´∀`)
律子(わ、私にこんな属性があったなんて……)(〃▽〃)
あずさ(小さいわぁ……なんてちっちゃくて可愛いのかしら……)(*´д`*)

(続く)


359 名前:SS[sage] 投稿日:2008/02/14(木) 18:53:23 id:UVHuVhOAO (携帯)
 『変身』 その2
── ・ ──
あずさ「もう、我慢できないわ〜」
あずさは、Pを抱き上げると、顔が胸に埋まる様に抱きしめた!
あずさ「あーん、なんて可愛いのかしら〜。うちに持って帰りたい〜」
P「んー、んー!」
千早「あずささん!? 何してるんですか!! Pちゃんが苦しがってます!」
千早はあずさからPを引き剥がした。
Pは涙目になって、「ぐすっ、あずさおねえちゃん……きらい……」と千早の後ろに隠れてしまった。
あずさ「ご、ごめんなさい……Pちゃんがあまりに可愛くて……、もうしないから、ゆるして…?」
P「ほんとに…しない?」
あずさ「ほんとよ」
P「じゃあ、ゆるしてあげる」
そのやりとりを見た小鳥さんがつぶやく。
小鳥「もう、あずささんを手玉に…。Pちゃん、恐ろしい子…」
── ・ ──
千早「じゃあ、お姉ちゃんと歌を歌いましょう」
P「うん!ぼく、チューリップうたえるよ!」
千早「ふふっ、じゃあ一緒に歌いましょう、さん、はい」
P「さーいたー、さーいたー」
千早「さーいたー、さーいたー」
二人「チューリップのはながー」
千早(楽しそうに、なんて楽しそうに歌うのかしら…)
二人「なーらんだー、なーらんだー、あかしろきいろ」
千早(技巧も何もない歌い方、でもなぜ、こんなにも心に染みてくるの?)
二人「どのはなみてもー、きれいだなー」
千早(楽しんでいるから…、そう、彼が心から歌を楽しんでいるから)
P「おねえちゃん、どうしたの? おなかいたいの?」
千早「な、なんでもないわ。大丈夫よ。」
 ─ ありがとうございます、プロデューサー。大切な事を思い出させてくれて ─
千早「どんな姿になっても、やっぱりあなたは私のプロデューサーなんですね♪」
P「???」
千早「ふふっ、次は何を歌いましょうか?」
P「うーんとねー…」
── ・ ──
そして夜の帳が降りる頃
律子「こうしてバッツーラは次元の彼方に去り…」
P「すー、すー」
律子「あら、寝ちゃってたのね」
あずさ「うふふ、寝顔も可愛くてたまらないわ〜」
春香「ただいま帰りましたー」
外に出ていたアイドル達が事務所が帰ってきた

千早「しーっ」
真「可愛いですね。この子は?」
 ─ かくかくしかじか ─
美希「へぇー、この子可愛いの」
P「ふぁあー」
やよい「起きたみたいです」
あずさ「うふふ、汗かいたみたいね、お姉さんとお風呂に入りましょうね〜」
ピクっ!
あずさの言葉にみんなが反応した。
千早「そ、そんなのダメです、Pちゃんは私と…」
伊織「う、うう、うちの広いお風呂が、い、いいに決まってるじゃない、いいわね!」
P「あのおねえちゃん……こわい…」
伊織「なっ!?」
 ─ ギャーギャー、どたばた ─
果たして、Pとお風呂に入るのは誰なのか?
それはまた別のお話