870 名前:[sage] 投稿日:2008/02/17(日) 22:22:20 ID:51BQt4yP0 (PC)
>>852 お裾分け

「うう、どうしてこんな目に」
彼はため息を付き、湯船の中の自分の手足を見る。
いつもより華奢で小さくなったそれは、自分の身に起きた異変を思い知らせてくれる。
「まあ、見つかったのがあずささんで助かったと言うべきか。
「しかし、もし、あずささんが俺の正体を知ったら・・・・・・」
幸いにも今のところ、彼女は彼がプロデューサーの幼くなった姿と気付いていない。
「逆に言うと見つけた迷子を家に連れ込む方が問題かもしれん」
「ふふ、お湯加減はどう? あらあら、恥ずかしがり屋さんね〜」
そう言いながら浴室に入ってきた彼女に、彼は自分の鼻血が出ていないかを確認する。
「あずささ・・・・・・お姉ちゃん、体を隠して」
「おませさんですねぇ。大丈夫、ボクになら、見られても大丈夫よ〜」
そう言ってあずさはかけ湯をして、彼の隣に座る。
(うう、俺が駄目なんです。これは絶対に俺だと知られたらいけない)
これが彼があずさに正体を言えない理由だ。
なにしろ、帰って来るなり彼の目の前で着替え、ずぶ濡れの彼を裸にして、お風呂に放り込んだのだ。
彼女の色々な物を見たし、色々な物を見られた。
かわいい、と言われたことはショックを通り越して、絶望すら感じた。
「さ、ボク、こっちに来て。ちゃんと一〇〇まで数えて、温まりましょうねぇ。
 着替えも近所で買ってきてあるから、大丈夫ですよ〜」
そう言ってあずさは彼を抱き寄せ、自分の前に座らせ、抱え込む。
「む、むりで・・・・・・す・・・・・・」
そう言って、俺は意識を手放した。

「ごめんなさいねぇ」
「あ、いえ、大丈夫だよ、あずさお姉ちゃん」
なんとか意識を回復し、彼女の手料理をご馳走になったが、
正直言って、幸せすぎて死ぬかと思った。
「もうこんな時間ですね。さあ、よい子はおやすみの時間ですよ」
「あ、僕はソファで寝・・・・・・」
「遠慮しないの。さ、一緒にベッドで寝ましょう〜」
そう言って彼女は彼を抱き上げ、ベッドへと連れて行き、抱きしめたまま横になる。
「ごめんね、ボク。ちょっと、今日は寂しかったから、こうしていて」
「あずさお姉ちゃん、泣いているの?」
彼は彼女が自分の肩に顔を埋め、泣いていることに驚く。
「ごめんね。私、好きな人がいるんだけど、気付いてもらえなくて・・・・・・
 でも、毎日会えるだけでも幸せで・・・・・・
 オフの日もその人のことを気付くと考えているの。
 本当は、今日もその人に会える予定だったんだけど、
 その人は会社に来なくて・・・・・・家にもいなくて・・・・・・
 私の目の前から消えちゃって・・・・・・」
彼は彼女の言葉に返事をしなかったし、おそらく彼女も返事を求めていないだろう。
そして、彼はそれが自分のことであることに気付く。
「ごめんなさいね、恥ずかしいところ見せちゃって。お姉ちゃん、失格ね」
「ううん、そんなことないよ、あずさお姉ちゃん」
「うふふ、ありがと」
そう言って彼女は彼のおでこにキスをした。
「さ、おやすみしましょう。電気を消しますね〜」
そう言って、彼女は電気スタンドの電源を切った。
「おやすみ、あずさお姉ちゃん」
そう言って目を閉じると疲れていたのか俺はあっさりと意識を手放してしまった。

「ボク、寝ちゃった? 寝ちゃったみたいね〜」
そう言ってあずさは抱きしめた子の頬を撫でる。
「ふふ、これは告白になるのかしら?
 聞いて以上は何時か答えて下さいね、プロデューサーさん」
そう言って、彼女は彼の頬にキスをして、目を瞑った。

あずささんの口調が変かも。お目汚しで申し訳ありません