649 名前:[sage] 投稿日:2008/05/28(水) 12:51:59 ID:8ustlx/p0 (PC)
ふと伊織の学校生活に思いを馳せてしまった。
彼女は中学生だがきっとどえらいお嬢様学校なんだろうな。
挨拶はもちろん「ごきげんよう」。いつもの新堂さんじゃなくて俺が迎えに行ったりすると騒然となるんだぜ。

「あら、校門の先でお待ちの方は?水瀬さんのこと、ご覧になっているようだけど」
「あ、わたくしも先ほど聞かれましたのよ。まだお待ちでしたのね」
「私を?ファンの方かしら、ご免なさいね、学校にはご迷惑をかけないようお願いしているのだけれど」
「ほら、あちら」
「ってプロデューサーっ!?……あ、あら、失礼。事務所の方でしたわ」
「あの方が水瀬さんのプロデューサーさんでしたの?ちょっと素敵な方ね」
「はしたなくてよ、西園寺さん」
「ふふっ、有栖川さんこそ、お昼休みにお友達とはしゃいでいらしたのはあの方のことね」
「や、やだ、聞いてらしたの?」
「そんな上等な奴じゃないんだけどねー」
「え?」
「……じゃなくて、お仕事に忠実な方ですわよ」
「水瀬さん、テレビでも人気が上がってらっしゃるって伺っていますわ。あの方の手腕なんですのね」
「あんな方と行動をともになさってるなんて、水瀬さんがうらやましいわ」
「そっ、そうでもありませんわ、配慮の足りないことも多いですし」
「あ、手を振ってらっしゃるわ、こちらに気付いたのね」
「ばっ、ばかっ」
「水瀬さんは御返事しなくてよろしいの?あ、ほら、ぴょんぴょん飛び跳ねて。くすくす、楽しい方」
「体育祭の時の応援団みたいですわね、芸能界の方はみなさん動きが大きくてらっしゃるの?」
「な……なにやってのよもーっ」
「水瀬さん?」
「あ、わっ私、収録があるのでこれで失礼するわね、ごきげんよう、また明日」
「そう、お仕事頑張ってね、ごきげんよう
ごきげんよう、あの楽しい方にもよろしくお伝えくださいね……あら、水瀬さんってけっこう走るの早いのね」
「お引止めして悪かったかしら、慌てて車に乗り込んでいるわ。時間に余裕がなかったのかもしれませんわ」
「あら?水瀬さん、後部座席ではなくて助手席にお乗りになるのね」
「――きゃっ?」
「有栖川さん?どうかなさったの?」
「ああ、ごめんなさい。いま、プロデューサーさんが窓に頭をぶつけたように見えたので」
「車の中で?」
「ええ、そうなの。まるで、見えないところで蹴り上げられでもしたみたいに」