327 名前:SSの破片[sage] 投稿日:2008/04/11(金) 17:24:15 id:UR2uG0Rf0 (PC)
>>316-317 を邪悪にも改変

「言ったな、千早。ならその楽しさを教えてやる。ほら、部屋を出るから頭低くしろよ」
「きゃっ……ちょ、ちょっと……まだ靴が!?」
「なに、すぐ戻るから。それよりほら、廊下、見てみ」

「あ……」


◇◇ ぴよぴよしてお待ちください ◇◇


彼女達の様子を見るに……明らかに引いてるっ!?

「ご、ゴメン……ね、邪魔して……あの、どうぞ、続けていいわよ」
「朝からテンション高いなー、お前すげぇよ、それならどんなオーディションにも勝てそうだ」
「あ、りがとうござい、ます・・・ち、千早。降ろすよ」
「あの、お二人とも、これは違うんですっ! なりゆきで……って、話を聞いてください!!
 黙って立ち去らないでー!!」

「すまん、千早。とんだところを見られちゃったな。オフィスに戻るか」
「はい、しかし、あの……靴が」
「ん、わかった。じゃあ、こうだな」
「きゃっ!?」
彼が中腰になって、長い腕が腰に回ったと思った次の瞬間、私は抱きかかえられていた。
奇妙な浮遊感に落下しそうな不安を覚え、掴まるものを探して、思わず彼の肩にしがみつく。

「あのっ! 歩きます。すぐそこですから、靴下をあきらめますから!」
「だめだめ。資料室は事務用品が持ち込まれるからな。一昨日、靴に画鋲が刺さってたし」
プロデューサーが歩き出すと、支えの無い腰が揺れて、浮遊感が強くなる。
彼に抱えられた足で支えを得ようとすると、より強くその腕が締められた。
体で、意思が伝わる。肩車よりもずっと近い心の近さに顔が熱くなる。

「千早、すまんがドアを開けてくれ。さすがに肩車とは違って手が」
「は、はい」
ノブを回しながら、肩車の楽しさも、お姫様抱っこと呼ばれる真の理由も理解できたけど、
などと考えている余裕があったは、ほんの数秒だった。
ドアがゆっくりと開いたその向こうに、真と、そのプロデューサーが立っていたから。

「千早っ!? おはよう! なな、なんか、楽しそうだね!」
「その様子だと、レッスンでケガをしたというわけでもなさそうだが。そうかこの靴、如月さんのか」
「そ、そうなんです。これは、そのそれです。さ、さあ千早。降ろすよ」
「あ、あの、真、これは違うの。誤解しないで。事務室は画鋲とか危ないから、その……
 真? 聞いてる?」

その後結局、事務所内で広まった噂は、2つがセットになって……
真と萩原さんが、素足で歩くには危ない場所で履物を失うにはどうすればいいかを
相談している所に出くわして、かける言葉が見つからず、立ち尽くした時はどうしようかと思いました。
その直後、振り向いた二人の、私を見る目が忘れられません。
やはり、何かを得る時は、何かを失わなければならないのでしょうか? くっ……!


(そうよ、千早ちゃん。 事務室に一番用のある職員が誰か、もう暫く忘れていてね♪)