841 名前:SS[sage] 投稿日:2009/06/09(火) 01:49:13 id:ainC+4270
■表現力レッスン(ランクA)

『うーいー……アイスたべたーいー……』
『おねえちゃん、アイスはご飯終わってからだよ』
『あーいーすー……』

お昼時の休憩時間帯……あたしたちは大ヒットしてるアニメを数人で観ている。
軽音楽部をモチーフに、5人の女の子が面白おかしくバンド活動をする例のアレね。そしたら……

「見ていて不快になるくらいやる気の無い人間ですね……お菓子だけ食べてサボりすぎだし、
姉としての威厳も責任感もありません。こんな子がどうして人気があるのか理解できません」
「えー、ミキはー、なんかこの子可愛いと思うな。なんとなく気持ち分かるしー」

……まぁ、そうなるわよねぇ、千早ちゃんが普通に考えたら。
でもこれは楽しくやる部活動としての音楽であって、プロとして責任ある活動じゃないのよ。
それに何よりこれはアニメだし、このゆるゆる加減が視聴者のみんなに受けているんだけど……
はてさて、どう説明したものか。あー、そうだ。ちょっと方向を変えて千早ちゃんの弱点を
何とか補強して、可愛さをアップさせてあげましょう♪

「そう言うけどね千早ちゃん……【甘える】って、アイドルには必要なスキルの一つなのよ。
ただ人を頼ったり、利用するだけの【甘える】じゃなくて、相手を気持ちよくさせる甘え方があるの。
このギターの女の子は甘えん坊さんだけど、甘え方に嫌味が無いし、いざって時はちゃんとキメる子なの。
だから人気があるし、主役を張ってるのよ。一つの方向だけ見て判断しちゃ、ダメよ。
ちなみに事務所で甘え上手な子をランキングしたらこんなカンジかな?」

A+伊織ちゃん ワガママお嬢様の聖域。相手によって甘え方を使い分ける真の上級者
A 美希ちゃん 天性の世話焼かれさん。何もしなくても周りがやってくれる素質を持つが使い分けは苦手
B+亜美ちゃん 強引な押しと泣きのテクニックは一級品。小学生パワーは強し。
B 真美ちゃん 亜美ちゃんに比べて一歩引いてしまうところがあるけど、逆にそれが人気になる子
B−真ちゃん  ファンに甘えるのは苦手だけど、プロデューサーさんには甘え上手。
B−あずささん 甘える……というより、周りがすすんで何かしてくれるオーラの持ち主。甘える機会には恵まれない人
C+雪歩ちゃん めったに甘えないなだけに、甘えてくれた時は誰も逆らえない一転突破型
C−律子さん  ファンに甘えるようなポーズは取れるけど、基本的に努力家なので甘えるのは苦手な人
D 千早ちゃん ……少しくらい【甘える】というものを勉強した方がいいんじゃない?

え?春香ちゃんが入ってない?……あの子はね、ちょっと……いや、甘えスキルは普通にあると
思うんだけど、彼女の担当Pさんが天然なのか、春香ちゃんはだんだんランクが上がるにつれて甘えなくなってる。
だって、この前も……

春香 「プロデューサーさぁ〜ん……ケーキ、もう一個食べたいなぁ〜なんて……」
春香P「ああ、いいんじゃないか?春香が食べたいんだろ、なら遠慮するな」
春香 「い、いいんですか?ほら、体重とか……」
春香P「俺は春香を信じてるからな。もうメジャーアイドルだし、自己管理できるだろ?
    食べられなくてストレスを溜めるより、楽しく食べて運動すればいいんだ。俺ならいくらでも
    協力するよ。ダンスでもロードでも最後まで付き合うからさ。すみませーん!追加でケーキを……」
春香 「ご、ごめんなさい!やっぱり要りません!!要りませんから!!」

……こんな感じで、逆に信頼されてるからこそ甘えづらいと言う可哀想なスパイラルに落ちちゃってるのよね。
でも、そのおかげでメキメキ伸びてるのも事実。人間って分からないものよね……ま、それはいいとして


842 名前:SS[sage] 投稿日:2009/06/09(火) 01:51:39 id:ainC+4270
「わ、わたしが最下位ですか!?甘える、甘える……」
どうやら、本気で分かって無いっぽい。仕方ない。ここは一発先生にご登場いただきますか。
ちょうど、担当Pさんも向こうにいるみたいですし。
「美希ちゃん。ちょっとお手本を見せてあげて♪おねだりの内容は適当でいいから」
「任せてなのー!」

そう言って立ち上がった美希ちゃんは、甘い声と共に担当Pさんの下へ寄って行き……

美希 「ハニー♪今日は〜ハニーの手作りおにぎりが食べたいな〜♪」
美希P「おい、美希……どうした急に?まさか、またあのいちごババロアおにぎり作れって?」
美希 「だって〜ハニーが作ると、ホントに美味しいんだもん♪ね、お願いお願いお願い!」
美希P「でもなぁ……あれ、米も結構使うし太りやすいぞ。時間もかかるし……」
美希 「お願いお願いお願い!ミキ、おにぎり食べたら3倍頑張るから!!ね、ハニ〜……ダメ?」
美希P「わ、分かったって……胸が当たるから抱きつくんじゃない!」
美希 「わーい♪ハニー大好き!!キスしてあげるね!」
美希P「うわ、ダメ、離れなさい!!みんな見てる!見てるから!!」
美希 「キャラメルフラペチーノも作ってくれたら、離れてもいいよ♪」
美希P「分かったから!!」

お見事、100点満点……得意のお色気攻撃を交えつつ、さらに一段上の要求を通すなんて、さすがね。
一連のお手本を見せてあげると、千早ちゃんは何やら思うところがあるらしく、ずっと考えている。
またも丁度タイミングよく千早ちゃんの担当Pさんが通りかかったので、彼女はおもむろに立ち上がった。

千早「プロデューサー!!お願いがあります」
P 「うわ、ち、千早……何だ一体、ずいぶん思いつめた顔をして……」
千早「今日は仕事が終わった後、うちでボイスレッスンがしたいです!!」
P 「おいおい……今週はもうけっこうレッスンしてるぞ。もう少し喉を労ってだな」
千早「お願いします!!もう少しでいい歌い方のヒントが掴める気がするんです!!
   喉へのダメージはちゃんと考えていますから!少しだけ……ほんの少しだけ……ダメですか?」
P 「わ、分かった!分かりました!!……でも、本当にやばそうなら止めさせるぞ!」
千早「大丈夫です!喉が痛くなったら……ついでに、歌詞読みも……………いいですか?」
P 「もう、しょうがないなぁ……付き合いますよ。千早のためならドンと来い!だ」
千早「あ……ありがとうございます!プロデューサー……嬉しいです!!」

千早ちゃんはプロデューサーさんの腕に抱きついて感謝してるんだけど……可哀想に、当たらない……
まぁ、ソレは置いといて……千早ちゃん本人は

『いかがですか?私もやれば出来るんですよ!!』

的な顔をしてこっちを見ているけど……はてさて、これをどう【ソレは違う!】と説明してあげましょうか?
すすんで試練にに挑む、仏陀の如き女の子、その名は如月千早!なんてね……はぁ、ダメだこりゃ。
この子は天性のストイックなアイドルです。もしもこの先ランクSにでもなって、イメージチェンジを
プロデューサーさんが試みる場合、軽音楽部のギターの子だけは真似しないように教えてあげようかしら?

ま、でもこういう子って……二人っきりの時とか、パヤパヤな時は甘え上手に育つ可能性が高いって言うしー。
ランクSになってもっとお近づきになったら、からかって肴にするのを楽しみにさせて頂きましょう。
プロデューサーの皆さん、アイドルの女の子達が甘えてきたときこそ、腕の見せ所ですよー♪


※バンドの流れから妄想をひとつ。……というのは建前で【けいおん】と【咲】を見てたら
【天江衣】→【あまえ】→【甘え】→【千早が甘える】と脳内で拡がったので、けいおんネタを
適当にまぶして中華鍋で揚げたらこんなSSになりました。千早が甘えるコミュもあるにはあるけど、
彼女自体は【甘える】という事をあまり意識してやらないだろうなと思った。