705 名前:SS?[sage] 投稿日:2008/05/17(土) 11:11:58 id:DTmelSAJ0 (PC)
「はぁ…」
溜息が私の口から毀れる

最近になって、一つだけ気が付いた事が有る
よく判らない。自分の気持ちが
ううん、感情…って言えばいいのかな、あの人に対しての

勿論私だって、あの人の持つ力はもう十分に判ったつもりで居るし、どんな人かってのも大体は理解してるつもりだ
だって、此処まで導いて来てくれたんですもの
何時も私の事を考えて配慮してくれる、心配りや優しさ。そのどれもが皆私の為になんだ、って
だからなのだろう、余計に今のこの私の感情は妙に心に引っかかる
ただ、理解する取っ掛かりが、まるっきり無い訳でもなかった
家族を失ってしまってからは、あの人の存在が私の心に少しづつ近づいて来てる様な気がしていたのは感じていたし、それがその取っ掛かりの一つにはなるだろうと言う気はしてた
そして、それに関係しているんじゃないのかな…?って気がしてるのも事実ではあったし
だけど、あの人の立ち位置の本質自体は、始めから大きくは変わって居ない様な気がしてる
勿論私に合わせてその距離はあの人の方で調節してくれてただろうし、駆け出しの頃に比べれば今はその位置が遥かに近くには為っているとは思うけど
しかしそれは、今も言った様にあの人が私に接する時のスタンス上の物であって、今私があの人に抱いてる感情の根源に因る物とは、根本的に違う物の上に立脚している様な気がしてならない
つまり、あの人の私に抱く感情と今私が抱いている感情は、始めから出発点が違っている、と言う事だ
尤も、この私の感情が何の上に有るのか自分自身でも判っていない事が、そもそもこの考察自体意味を成すかどうか怪しい物が有るのだが

それでも、やっぱり私はこの感情が気に掛かって仕方が無い
この先、あの人との関係に新たな波紋を重ねる一石となる気がしてならないから
ならば、少し行動してみようかな…?って思う
今はこの感情が何なのか判らないけど、行動してみる事で答えが見つかるなら、それも又一手なのかもしれないし

あ…、あの人だ…

「…あ、あの…」
「ん? どした、千早」
声を掛けた私に、書き物をしながらも何時もの優しそうな笑顔を彼が向けてくれる
「あ、いえ。 え、と、ですね…」
「?」
「その…一つお願いが…。 あ、いや、申し出と言った方が良いかも知れませんが…」
自分でも、顔がどんどん赤らんでいくのが判る
「何だよ、改まって。 いいよ、遠慮しないで言ってみな」
「は、はいっ。 では…。 え、えーっと…、きょ、今日から、その…プ、プロデューサーのお食事………作りに行っても……良い…ですか…?」
「…は?」
随分、奇妙な表情の彼
「だって、何時もプロデューサー、お食事を御不自由そうにしてるので…。 で、ですから、お食事を作りに…と思って…」
「…だ、誰が…?」
黙って私は、おずおずと自分自身を指差す

彼の手から、ポトリとボールペンが落ちた



ちーちゃんが通い妻化する時、こんな自覚の無い段階だともっとハァハァな気がした